2467人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
それから一時すると、死んだように眠り始めた川崎。
それを見て、散らかった部屋を片付け、血の付いたものは煮沸消毒し、カミソリはティッシュに包んでごみ箱に。
すべて終わらせて、もう一度シャワーを浴びた。
上がると直ぐにベッドに向かい、額に手を当てる。
(…微熱…許容範囲だな)
術後の患者同様、微熱がある感じ。
これが高熱になれば病院決定。破傷風の疑いが出てくるからだ。
冷凍庫を開けると、やはりアイスノンはない。
大きめのボウルに水と氷を入れて、タオルを浸し固く絞ると、川崎の額に乗せる。
薬の効き目が凄いらしく、触覚で起きることもない川崎。
「……!」
床に座っていた私は、そこであるものに気付く。
隠しているようにベッドの下にある上着。
チラッと川崎を見る。
深い眠りに落ちている様子は変わらない。
ゴクッ!と生唾を飲んだ。
(…財布くらいは持ってるはず…)
何者なのか。どこから来たのか。
謎の多い川崎に関して、その疑問を払拭できる。
「……………」
手を伸ばした瞬間、ピタッ!と停止した。
……そうだ。
この男、一瞬にして状況判断が出来る人。
些細な物事変化も見逃すはずがない。
恐らく、上着の置いた位置でさえ記憶していると考えていいはずだ。
(…どうする?)
止まった手が行き場を失い、宙にさ迷う。
「……………」
考えた末、多少生まれた信頼を壊すことはやめておいた方がいいと判断。
だが、少しの情報を得るため、上着を動かすことなく上から探るように触れる。
「……ッッ!!」
あるものに触れ、あるものの形状を描く。
四角の何か。
そして、銃の形状。
それに気付き、手を引いた。
最初のコメントを投稿しよう!