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無駄なお喋りをしない川崎は、翌朝起きても、私の言う通りにベッドから起き上がらずに過ごした。 「…川崎さん。母屋に行ってくる。」 「…俺も行く。」 「直ぐ戻ってきますから。寝ててください。」 「ダメだ。俺も行く。」 「川崎さん!大丈夫です。30分もかからない。今起きたら傷口開いちゃいます。休んでてください。帰ったら消毒しますよ。」 「……………」 自分を撃った相手が近くにいるから心配しているのか、それとも逃げないように見張っているのか。 定かじゃないが、とにかく用事を済ませて早目に帰った方が安心するだろう。 母屋へ行くと手記を借り、足早にペンションに戻る。 「……………」 その途中、車道ではない場所にタイヤの跡を見付ける。 (…出てきたな…) 昨日の雪の足跡が功を奏した? だとしたら、ここからは時間との勝負になる。 (4日目…意外に遅いな…) 「ただいま戻りました。」 「……………」 色々考えながら戻り、川崎のベッドに近付くと様子を伺う。目が合うと、また溜め息。 「…消毒しましょう。ついでに身体を拭いて服も着替えて。タオル濡らしてきます。」 「ああ。」 お湯で濡らしたタオルを渡し、5分ほど時間を空けて川崎の元へ向かう。 着替えた川崎の傍に寄り、タオルを持って服の中へ手を入れ背中を拭き、横にならせ消毒をする。 (膿んでない…良かった…) 徹底的に消毒をしているからか、傷も化膿せずに済んでいる。 傷口が開かないようにテープで固定し、ガーゼを当てて終了。 ……グゥゥーー…… と。川崎のお腹が鳴った。 …そう言えば、まだご飯を食べてなかった自分に気付く。 川崎を見れば、真っ赤な顔で外を向いてて。聞かれたことが恥ずかしいらしい。 「ごめんなさい。直ぐ何か作る。好き嫌いないよね?ちょっと待っててください。」 「……香子。…悪い。ありがとう。」 「……………」 今まで見てた中で、一番穏やかな表情。
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