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ここに来て6日目が過ぎようとする頃、川崎はかなり回復し、シャワーを浴びれるほどになっていた。
「まだですか?」
『だから、現物を送ってくれって。』
「…そんなこと言われても。もう手元にないんですってば。」
『嘘つくな!証拠を捨てたとでもいうのか!』
「本当なんですよ。」
『…まぁいい。あれは"ジュニアコルト"という自動拳銃の弾だ。』
「ジュニアコルト…?」
『ああ。アメリカで造られている。なぜその弾がそんなところにあるんだよ。』
「それを私に聞かないでくださいよ。…こんなの持ってたら余計危ない気がして。捨てて良かったです。」
『捨てただと!?…なんてこと…』
「だって!命が危ないかもなんですよ?私が蒸発したらどうするんですか!」
『……葬式は出てやるよ。』
「葬式!?編集長に訴えてやる!」
『ハイハイ。気を付けて。あと、報告書早く出せよ。』
「分かりましたよ!帰ったらビール奢ってくださいよ!」
捲し立てて電話を切ったあと、違和の払拭に取り掛かる。
「…ジュニアコルト…」
「…ジュニアコルト?」
「うわぁあああ!!」
「うるさい。叫ぶな。」
「後ろから気配を消して来ないでください!」
「…ジュニアコルトがどうした?お前がどうしてそんなこと知ってるんだ。」
「……ってことは、川崎さんだって知ってるんだ?」
「……………」
何か聞くと、肝心なことは口をつぐむ。
ここ数日で分かった行動パターン。
「…言いたくないんでしょ?…もういいって。そのパターン飽きたから。」
ぶっきらぼうにそう告げると、上着を着る。
「どこ行く?」
「家の裏。30秒で戻りますよ。」
…若干イライラしたから外の空気吸いたいだけ。
この状況も、6日続けば息が詰まってくる。
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