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翌日、出勤して経費を貰って新幹線に乗る。
(…なんだ…この取材…)
『香子。お前怖がり?』
『いえ。全く。』
『心霊現象とか平気?』
『見たことも遇ったこともありません。』
『だよな!お前なら霊が拒否りそうだしな!』
『…失礼な。』
『今回の取材はこれだ!頑張れ!』
……と。笑顔で渡された取材計画表。
長野の山奥にあるペンション周辺で起きている怪奇現象の検証取材。
そのペンションは、そのために年々客足が減ってきているらしい。
綺麗な大自然、少し行けばスキー場。
絶好の観光スポットもある。
(うわ。捨て身だな。ペンション一棟千円?)
取材にあたり、交渉結果の金額らしいが。
相当困っている様子。
(キッチン完備…なるほど。自炊か。買い物していかなきゃ。)
数枚に渡る取材計画表を読み、すべてを暗記した頃長野に到着。
そこからレンタカーで曰く付きペンションに向かい、大量に買い物をして到着したのは日が落ちて直ぐの時間。
「こんばんは!R出版の本田です!」
母屋らしき場所に大きな声で話し掛けると、60代くらいの男性が出てきた。
「お世話になります。R出版の本田です。宜しくお願いします。」
「わざわざご足労いただきありがとうございます。オーナーの崎田です。…お疲れでしょう?中へどうぞ。」
「あ、すみません。今から会社に連絡しないといけないので、また明日お邪魔してお話しさせてください。」
「そうかい?大変だなぁ。」
「仕事ですから。…一棟お借りできるとのことでしたが、それはどこですか?」
そう訪ねると、オーナーが表情を曇らせた。
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