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「…人為的工作の呪いのようなものだ。」
「…呪い…ですか?」
「ああ。」
翌日、朝起きてペンション周辺を探索。
木々に囲まれた大自然。
その間の湖が青空を写し出していた。
棟の間隔は100mほど。
隣の棟でバカ騒ぎしようが聞こえないだろう。
山道は二つ。
周囲を確かめ終わった午後の早い時間に、母屋へ向かってオーナーに話を聞いていた。
「人為的とは…?」
「…例えば、誰も通らないペンション裏に足跡や車のタイヤ痕があったり、玄関の前に死んだ鹿がいたり。そういうことが起こるんだよ。」
「なるほど…それで呪いになるんですか?端から見れば、ただの嫌がらせにしか見えないんですけど。」
「…蒸発する。」
「…蒸発?……まさか……」
「……ああ。泊まっていたお客様が消えるんだ。
それも、決まっている特定のお客様のみに。」
「…どういうお客様ですか?」
「君の言う"嫌がらせ"を気にしないお客様だ。」
その後、幾つか質問したが、それ以上の有力な情報は聞き出せなかった。
そこでペンションに戻り報告。
『呪いで失踪者が増えるペンションか。』
「はい。…お客様のリストを貸していただきました。今から調べてみます。」
『…香子。…お前も呪いにかけられるってことだぞ。気を付けろ。』
「わかっています。」
……そう。
その人為的工作とやらの後は呪いが待っている。
裏を返せば、自分に襲いかかる"人物"が犯人となるってこと。
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