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こちらを見ずに、カンナが言った。
「…だから、アカリンってやめてよ!」
「あの時は、言わないからいいじゃん~」
重ねた手のひらから、汗がぶわりと出る。
私は、馬鹿と疲れるまで言った。
「でーきた。帰ろうか、アカリン」
がたりと席を立ち、カンナがにっと笑う。
「今日、ウチでいい?」
握ってきた手が、私の背中をぞくりと震わせる。
「アカリ。いつもみたいに、私のせいにして」
カンナの顔を見ずに、首を縦に振った。
END
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