57人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「おいおいおい!」
教室に着いて早々、トイレに消えてた啓介が興奮気味に戻ってきた。
そう、この1年またこいつとクラスが一緒なんだ、、、。
それにしても家を出る前に、トイレくらい行かないのかこいつは?
「なんだよ、そうぞうしいな」
「転校生だよ転校生!! しかも女!!」
えぇっ!? と啓介の周りの男どもにどよめきが起こる。
「ほんとに?」
「マジで!?」
「うん、廊下に立ってるのを見た。間違いない」
「で、顔は?」
最初に聞くのがそれか?
、、、って僕もそこが実は一番気になるんだけどさ。
女子の新入生と聞いて、教室の廊下側の窓から外を覗くヤツもいれば、なぜか鏡を出して髪を整えるヤツもいる。
ガラガラッ。ドアが開いた。
テストの日でもないってのに、緊張感がクラスに走る。
「おら、みんな座れー。転校生だぞ」
担任の山川先生の声なんか、耳に入ってこなかった。
その後ろから、ゆっくりとした足取りで教室に入ってきた子。
か、可愛い、、、。
肩に届くくらいの髪の長さで、目がくりっと大きめで色白で、両手を前できゅっと緊張気味に組んでいる。
「東雲(しののめ)かれんといいます。よろしくお願いします」
可愛い。すごく可愛い。雰囲気もなんか上品でお嬢さんな感じ。
だけど、、、。
その子が席に着くため、僕の脇を通ったときにあれっと思った。
、、、この子、なんか、匂う!?
最初のコメントを投稿しよう!