【2】カノジョの謎

4/11
前へ
/223ページ
次へ
*** 「おいおいおい!」 教室に着いて早々、トイレに消えてた啓介が興奮気味に戻ってきた。 そう、この1年またこいつとクラスが一緒なんだ、、、。 それにしても家を出る前に、トイレくらい行かないのかこいつは? 「なんだよ、そうぞうしいな」 「転校生だよ転校生!! しかも女!!」 えぇっ!? と啓介の周りの男どもにどよめきが起こる。 「ほんとに?」 「マジで!?」 「うん、廊下に立ってるのを見た。間違いない」 「で、顔は?」 最初に聞くのがそれか? 、、、って僕もそこが実は一番気になるんだけどさ。 女子の新入生と聞いて、教室の廊下側の窓から外を覗くヤツもいれば、なぜか鏡を出して髪を整えるヤツもいる。 ガラガラッ。ドアが開いた。 テストの日でもないってのに、緊張感がクラスに走る。 「おら、みんな座れー。転校生だぞ」 担任の山川先生の声なんか、耳に入ってこなかった。 その後ろから、ゆっくりとした足取りで教室に入ってきた子。 か、可愛い、、、。 肩に届くくらいの髪の長さで、目がくりっと大きめで色白で、両手を前できゅっと緊張気味に組んでいる。 「東雲(しののめ)かれんといいます。よろしくお願いします」 可愛い。すごく可愛い。雰囲気もなんか上品でお嬢さんな感じ。 だけど、、、。 その子が席に着くため、僕の脇を通ったときにあれっと思った。 、、、この子、なんか、匂う!?
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加