【2】カノジョの謎

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*** 「東雲さんってさー」 クラスの後ろの方で、女どもがひそひそ話している。 「なんか匂うよね。なんつーか、台所の匂い?」 「おうちがすごく汚いとか?」 「まさかホームレス、、、?」 普通なら転校生の1週間目ってのは、好奇心やらおせっかいやらで、まわりに人だかりができるもんだ。 なのに彼女には、みな3歩くらい離れて、話しかけようとする。 なんなんだこの匂い。なんかおいしそうなにおいでもあるんだけど。 「これから夏休みにある林間学校のグループ分けをするぞ。まだ早いと思うかもしれないが、グループ研究もあるから、早めにスタートする」 4月のある日、担任の山川先生の一言で、仲良し同士がわらわらと教室のあちこちに固まった。 このグループで一緒に自然学習をしたり、飯の準備をしたりするんだ。 男と女はやっぱり別々のグループになってるな。 が。 東雲さんは、教室の真ん中にぽつねんと一人でいる。 来たばかりでまだ知り合いがいないから、、、ってだけじゃないみたいだ。 なんか、避けられてる? まさかあの匂いのせいでっ!? いくらなんでもそれはないだろ。無駄に正義感の強い僕は納得ができなかった。 「おい」 啓介に言った。 「彼女いれてやろうぜ」 「僕らんとこにかあ?」 「ん」 啓介や他の連中の返事を待たずに、俯いて立っている東雲さんのところへ行った。 「僕らのグループに入んなよ」 「え、う、うん、でも」 やっぱ男だけのグループじゃ嫌かなあ。 「あ、ありがと。考えとく」 そういいながらも、嬉しそうに微笑む彼女に思わず見とれてしまった。
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