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***
しかし、あの匂い、不思議だ。
「ほんとにホームレスじゃね?」
「あんな可愛いホームレスがいるか!?」
着てる服はボロじゃなく、自分にはさっぱりわからんけど質のよさそうな高そうなものだ。
なのになんで匂うんだ!?
「あとつけてみようぜ。どんな家に住んでいるかわかるだろ」
もう4月も終わりにさしかかったころ、啓介はいかにも名案を思いついたとばかりに、そう言った。
そりゃストーカーってやつじゃねえの? と思いつつ、好奇心に負けた僕らはある日、東雲さんの帰り道を尾行した。
***
「おい商店街に入っていくぞ」
感づかれないよう、忍者のごとく着かず離れずで東雲さんのあとを追う僕たち。
「お、今日は週刊ホップの発売日か」
「バカ、見失うぞ!」
啓介の首根っこをつかんで本屋から引きずり出す。
「ちょっとこのゲームソフト、続編出たのか」
また啓介の腕をつかんで、ゲーム屋の表に引っ張り出す。
「おい商店街に入っていくぞ」
感づかれないよう、忍者のごとく着かず離れずで東雲さんのあとを追う僕たち。
「曲がった!」
「裏に回った」 僕らも急ぐ。
「え、ここ?」
「、、、へ? カレー屋の2階!?」
彼女が入っていった建物。
1階はいつも昼時には行列ができるほどの人気のカレー屋。
その真上の窓が開いて、東雲さんが顔を出すのを確認して、僕らは退散した。
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