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翌日、僕と啓介は先生に実験準備を手伝うように言われたと言って、東雲さんを誰もいない理科室に呼び出した。
来てみたら僕ら二人だけとわかって、あきらかに彼女は緊張している。
「東雲さん、ちょっと匂い嗅がせて?」
啓介のヤツ、ストレートすぎるくらいストレートに聞きやがった。
「え、なに!? や、やだ!!」
確かにいきなりそれじゃあ、ヘンタイとしか思えないよ。
仕方がないので、僕が説明を始める。
彼女のそばを通るとき、なんだか匂うこと。それで、彼女は避けられていること。
「そのにおいのせいで、みんなに影でなんていわれてるか気づいてない?」
「うん、なんとなく、、、」
「何が原因かをつきとめたいんだ」
「そ、僕がホームズで、こいつはワトソン君ね」
「啓介、お前は黙ってろ」
このままじゃパイプをくゆらすマネでも始めかねない啓介を、牽制した。
「君はカレー屋の上に住んでるんだよな」
「うん、どうして知ってるの」
「や、たまたま、通りかかってさ。下校途中の君を見たんだ」
少しだけ事実と違うことを言う。
「狭くて古いとこなんだけど、今回のパパの転勤は急すぎて、新しく住む家の準備ができてなくて、とりあえず便利なとこっていうんで、あそこになったの」
「そうか。ちょっと確かめたいことがあるんだけど、じっとしててくれる?」
「こう?」 東雲さんの背後に回る。
くんくん。
彼女の背中に、鼻をくっつけて嗅いでみる。
彼女が緊張してるのがわかる。だいじょーぶ、前に回って嗅いだりはしないよ。
しかしこれ、、、
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