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その日、用事があるからという東雲さんと別れて、僕と啓介はもう一度彼女の家に行ってみることにした。
「やっぱ、カレー屋と関係あるのかな?」
「でもなんで、服だけ、、、」
「あ、そうだ!」
啓介がひらめいたとばかりに、手を打つ。
「なんだよ。なにかわかったのか!?」
「カレーの香りの洗濯洗剤とか使ってるんじゃね?」
「、、、、、、」
一回殴ってやろうかこいつ?
商店街に入り、彼女の住む建物が見えてきた。
「外までカレーの匂いがするよなあ。腹減ってきたぜ」 嘆く啓介。
「どこからこの匂いはするんだろ?」
「おいー、なんか雨降ってきそうだぜ。出直すか?」
啓介が空を見上げている。
ほんとだ、向こうの空はもう真っ暗だ。
そう思って頭上を仰ぐ。もう今にも降ってきそうだ。
あれ、2階の彼女んちのあの洗濯物、取り込まないとまずいんじゃね?
「、、、!」
「どうした?」
上を向いたまま固まって動かない僕に、啓介が声をかけた。
「犯人をみつけた」
「なんの?」
「東雲さんの匂いの」
「、、、はぁ!? そいつはどこにいるんだよっ!?」
「とにかく彼女が帰るのを待って、話そうぜ」
***
週明けの月曜日。
「おはよー!」
「あれ、東雲さん、匂わないね」
「てか、いいにおいするー」
「そぉ? ありがとうー」
にっこりする東雲さんを見て、僕もなんだかとてもハッピーな気分になりながら、週末の会話を思い出していた。
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