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「ちょうど週末で連休だし、一緒に行こうよ」
「えっ、イヤだよ」
「何でよ~」
七美は口を尖らせる。こういう子供っぽいところも可愛い。
「だって、会いたくないもん」
「私、ゆつちゃんの生まれ育った町が見たい。ねぇ良いじゃん。お願い」
「え~~」
「よし! じゃあ、夢の極楽ツアー、三日間延長するから」
「バカ!」
「バカで結構。でも、明日は早起きだからね。ゆつちゃんと付き合い始めて初めての旅行なんだから」
七美は嬉しそうな顔をした。
ワタシの実家は、最寄駅から電車で二時間ほどだから、全然旅行なんていう距離じゃないし、絶対に父のお見舞いになんて行きたくないんだけど、惚れた弱みか七美には逆らえない。
「しょうがないなぁ、もう」
「わぁ~い。やったぁ~。ゆつちゃんと旅行だ~」
七美は子供みたいにはしゃぐ。
その姿が本当に可愛くて、ワタシは七美に今日も癒された。
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