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「今夜はお別れパーティーだな」
香子姉が立ち上がってキッチンから大きなお皿を持って戻ってきた。
「これはもしや……」
お皿の上には淡いオレンジ色のパウンドケーキが綺麗に盛り付けられていて、その傍らにも鮮やかなオレンジのお花が3つ寄り添うように飾られている。
「私からの餞別。特性ニンジンプレート」
あたしの右横にペタリと横座りしながら、香子姉がニヤリと笑った。
「香子姉いじわる……」
「どこが? みゆが明日からニンジンだらけのお家で困らないように考えてやったのに。
みゆが大好きなアールグレイの茶葉とシナモン入れて焼いたキャロットケーキ。これならみゆも食べられるだろ」
好き嫌いはこーゆーもんから徐々に慣れていけば克服出来るから、って続けながら香子姉はフォークに一口分を刺してあたしの口元に差し出した。
「はい、あーん」
優雅に微笑む香子姉に見惚れて、つられるように自然に口が開く。
「……あーん」
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