第1章プロローグ

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なびく風が頬を撫でる秋。 この桜ヶ丘女子高にも、恋愛の秋がやってくる。 「今日こそは…この手紙を先輩に……」 由良子は、徹夜で書き上げた手紙を握りしめ、校門前で先輩を待つ。 〝受け取ってもらえるだろうか…〟 不安ばかりが募る。 この瞬間が地獄であり、一番緊張する時だ。 「はぁ…まだかな…」 切ない気持ちが鼓動を高鳴らせ、迷いと期待が心の中で混ざり合う。 「お疲れっ。」 「夏目先輩っ!お疲れ様です。」 〝きたっ!!〟 鼓動はさらに高まり、ピークに達する。 夏目が走る足音より早く、鼓動は速度を落とすことを知らない。 〝言わなきゃ!言わなきゃ!!〟 その言葉だけが脳裏をぐるぐると回り、言葉が中々口からでない。 「いけない!バイトに遅刻する!」 「先輩!こっこれ…読んでください!」 そう声に出せた時には、夏目が走り去った後… その声は虚しく響き渡り、外野の微笑とざわつきが由良子を辱める。 「やだぁ…あの子夏目先輩にラブレター渡そうとしてる」 「受け取ってもらえるわけ無いのに…馬鹿ねぇ…」 「よしなって…聞こえてるよ。」 由良子の瞳から一筋の雫がこぼれ落ち、その場にいられない雰囲気から自然と体が動き、校門を走り去る。 「うわぁぁぁん…。」 〝そうだよ!私なんかが夏目先輩となんて…〟 砕け散る気持ちが涙として零れ落ちるかの様に、思考はドンドンネガティブな方向へと向かっていく。 〝もう…先輩には顔を見せられない…〟
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