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涙を流しながら走る街中。
人の目など気にする余裕もなく、ただ走り続けた。
〝もう…もう!!〟
「うわっと!?」
「ひゃっ!?」
周りも見ずに走った結果、たどり着いたのは、学校からそう遠くない大きな公園。
その公園内にあるクレープ屋の前で誰かとぶつかった感覚と激しい衝撃に尻餅をつく。
「いたたた…ごめっ…」
「あたたたた…全く気をつけ…
月海じゃないか!?」
「せっ!?先輩っ!?」
目の前には、同じ様に尻餅をつき、腰を撫でる夏目の姿。
由良子の心臓は今にも爆発するのではないかと思うほど鼓動を打ち、脳内はパニックを起こし始めた。
「いたたた…どうしたんだ?月海…。
そんなに慌てて……」
「先輩っ!その……えーっと……。
うぅぅ…。わぁぁぁぁー!!」
由良子は、発狂を上げながらその場を立ち去る。
今は少しでも、夏目先輩から離れたい。
離れなければ、心臓が爆発してしまう!
そんな気持ちが由良子を支配し、あっと言う間に公園の外へ走り抜けた。
「な…なんなんだ?あいつ……。」
突然逃げて行った由良子を不思議に思いながら、立ち上がる夏目。
ふと、足元を見ると一枚の手紙が落ちていた。
「ん?月海のやつ…落としていったのか?」
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