6

17/17
109人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「ついでのようで申し訳ないが、さっき君が声を掛けた人、中田さんって言うんだけど、彼に先に帰ると伝えてもらえるだろうか」 「わかりました」 「よろしく、弟橘くん」 「え?」  彼に呼ばれるはずのない名前に、自分のことなのに耳を疑った。  僕のことを知っていたのか?  斑目社長はそれ以上は何も言わず、階段を下りていく。  エレベーターじゃ誰かに会ってしまうから。  僕は彼らが階段を下り切った頃合いを見計らって二階へと戻った。  芹沢世理が僕の特異点になることはない。  彼女にはもう斑目社長がいるし。  こうして僕の初恋らしきものは終わりを告げた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!