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社長の足は速く、階段を三段飛ばしで駆け上がる。
僕は追いつけずに、五階で振り落とされた。
ようやく六階に辿り着くと辺りは静まり返っていて、誰も居ない。
いや、居るはずなんだ。
僕は補助灯が照らす廊下をゆっくりと歩きながら耳を澄ます。
すると社長室の手前の部屋から光が漏れていて、微かに話し声が聞こえた。
激昂する男の人の怒鳴り声だけがはっきりと。
しばらくして何も聞こえなくなって、開かれたドアから現れたのは斑目社長と、彼にお姫様抱っこされている芹沢世理だった。
彼女には肩から斑目社長のジャケットが掛けられていた。
靴も片方脱げてしまって、社長が持っていた。
あんまり想像したくないけど、中で起こった出来事に僕は吐き気がした。
未遂で終わったんだよね?
だってこんな短時間に、無理だよね? 普通は。
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