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「ついでのようで申し訳ないが、さっき君が声を掛けた人、中田さんって言うんだけど、彼に先に帰ると伝えてもらえるだろうか」
「わかりました」
「よろしく、弟橘くん」
「え?」
彼に呼ばれるはずのない名前に、自分のことなのに耳を疑った。
僕のことを知っていたのか?
斑目社長はそれ以上は何も言わず、階段を下りていく。
エレベーターじゃ誰かに会ってしまうから。
僕は彼らが階段を下り切った頃合いを見計らって二階へと戻った。
芹沢世理が僕の特異点になることはない。
彼女にはもう斑目社長がいるし。
こうして僕の初恋らしきものは終わりを告げた。
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