6

9/17
前へ
/25ページ
次へ
「ちょっと失礼なんじゃ……」 「これはね、裏設定なの。だから本当は稲穂、朝焼け、柘榴、黒曜、大木」 「はぁ……」  変な人だとは思っていたけど、彼女は本当に変な人だった。 「痛快でしょ?」  そう言って笑った彼女に僕は愛想笑いで返した。 「あ、いたいた。世理先生!」  笑っていた彼女は途端に無表情になり、能面になる。  彼女の視線を辿ると、マーブルの結城が手を振っていた。  僕はあの女が嫌いだ。  デスク周りは汚いし、ごみをゴミ箱にきちんと入れられない女だからだ。  それに、悪い噂ばかり耳にする。  身体で営業とか、寝とったとか、社長の愛人とか……。あっ。  だから奥さんはこんな顔をしているのか。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加