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「ちょっと失礼なんじゃ……」
「これはね、裏設定なの。だから本当は稲穂、朝焼け、柘榴、黒曜、大木」
「はぁ……」
変な人だとは思っていたけど、彼女は本当に変な人だった。
「痛快でしょ?」
そう言って笑った彼女に僕は愛想笑いで返した。
「あ、いたいた。世理先生!」
笑っていた彼女は途端に無表情になり、能面になる。
彼女の視線を辿ると、マーブルの結城が手を振っていた。
僕はあの女が嫌いだ。
デスク周りは汚いし、ごみをゴミ箱にきちんと入れられない女だからだ。
それに、悪い噂ばかり耳にする。
身体で営業とか、寝とったとか、社長の愛人とか……。あっ。
だから奥さんはこんな顔をしているのか。
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