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俺は頭を抱え、額を冷たい土につける。
その瞬間、右側から誰かに見られている気がしたので顔を向けると、首と右足の無い市松人形が意味ありげに転がっていた。
俺が咄嗟に立ち上がり走り出すと、再びあの時の少女の声が聞こえる。
『ミツコチャンヲ、オコラセタカラダヨ?』
その声が消えると同時に、俺の足は空を蹴っていた。
目線を下に向けるまもなく堕ちていく。
村の終わりには崖がある。
だからココは落崖村だとサイトに書かれていたことを、俺はすっかり忘れていた。
この村に、これから先誰も訪れない事を祈りながら、俺は崖から転落した。
完
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