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俺は幼い少女の声が幻聴だったと言い聞かせ、小刻みに震える足を摩りながら抑えていた。
「克人、お前何をビビってんの?来る前は俺も怖かったけど、意外と来てみたらただの廃村だからそんなにだぜ。
一泊するしかないんだから、この状況を楽しむしかないだろ!
それにほら、空見てみろよ……星が綺麗すぎ!
あ~あ、女子でも連れてきたらよかったよな!」
秀介の声に顔を上げた俺は空を見上げる。
木々の隙間から見える星は、プラネタリウムでしか見れないような星空だった。
俺はランプを消して、吸い込まれるような星に視線を集中させ、しばらく無言で眺めていた。
1分に1度くらいの感覚で、流星も流れている。
『あの声は幻聴に違いない。
この村は無人なんだ……声が聞こえる筈なんてない。
馬鹿話をしている間に夜は明けるはずだ』
ゆっくりと目を開き、秀介の方に顔を向ける。
「なぁ、しゅうす……け?」
そこには、秀介の姿は無かった。
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