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「なんだよ……コレ」
俺は早くなる鼓動を少しでも抑えようと胸に掌を当てる。
手についた赤い液体が血なのか確かめようと鼻に指先を持ってくる。
生臭い鉄の匂い。
「血だ……」
俺はそう呟き、何かに導かれるように廃村の奥へ足を進める。
すると、秀介の着ていたチェックのシャツが地面に落ちている事に気づいた。
そのシャツにも、血はベッタリとついている。
シャツに伸ばす手が、恐怖でガクガク震える。
俺はシャツを拾い、顔の近くに持ってくる。
「まだ温かい……」
つい先程まで秀介が着ていたということを、その温もりは物語っている。
しかし、それと同時に血液の鉄臭い匂いが、再び鼻にまとわりつく。
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