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「誰だ!?誰が居るんだよ……おい。
この村は……無人じゃなかったのか!?」
その言葉に、応えるモノは居ない。
ただ静かに、点在している壊れた民家のみが不気味に俺を囲む。
恐怖も限界が来ると涙も出ないらしい。
鼓動が早すぎて、息苦しくなってきた。
呼吸を整えながら少し歩くと、秀介が履いていたと思われるジーンズを見つけた。
「嘘だろ……」
そのジーンズが秀介の物か確認するため、俺はスマートフォンを取り出して出発時に写した秀介の写真を確認する。
写真を見た瞬間、秀介の右足と首が消えている事に俺は気づいてしまう。
「そんな……」
俺はすぐに写真から目を逸らし、スマートフォンをポケットにしまい、背筋を通り抜けた凍るような寒気に身を震えさせる。
俺は気が狂ったように笑いながら、「嘘だ」という台詞を連呼しながら歩き続けた。
廃村は思った以上に広く、奥に進むにつれて最初に見た6軒以外の廃屋も姿を表している。
正確な数は分からないが、30軒近くはありそうだ。
前だけ向いて歩いていると、足首に何かがゴツンと触れる。
「ん、なんだ……」
手に持っているライトを下に向けた瞬間、肌色の塊が目に入る。
それが人間の足であることに気づいた俺は、胸を抑えながら嘔吐した。
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