1093人が本棚に入れています
本棚に追加
切断された太ももの切り口は、ノコギリで切ったように不揃いに爛れている。
足首には、人間の歯型のようなものがくっきりと残っていた。
ソレを見た瞬間、俺は秀介が蛇に噛まれたと言いながら、ボロボロの市松人形を蹴り飛ばしたシーンを思い出した。
「うっ……げほっ……」
酸っぱいものが再び込み上げてくる中、俺は這うように足を進める。
すると、今度は丸い塊がポツンと転がっている事に気づく。
ゆっくりライトを当てると、目を見開いた秀介の生首だった。
苦痛に表情を歪めた状態で、秀介の時間は止まっていた。
俺は声を上げることも出来ず、涙を流してその場に蹲る。
現実を受け止めきれない。
秀介に何が起こったのか考えても解らない。
ただ、この村には俺と秀介以外の何かが居る。
最初のコメントを投稿しよう!