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数分後、俺達は乗客がほとんど居ない電車に乗り込んでいた。
「俺、始発に乗るのって初めてだよ」
「俺だって初めてだ。こんなに人が少ないと思わなかった……」
「まぁ、あと1時間もすれば会社員でごった返すんだろうけどな」
そう言ってスマートフォンを弄り始める秀介。
昨晩眠るのが遅くなった俺はいつの間にか電車の揺れに身を任せ、眠ってしまった。
――――「おい、克人!克人ってば!!」
秀介の声と身体を揺すられる振動で目覚めた俺は車窓に目を向ける。
外はすっかり明るくなっていて、夏らしく眩しい太陽も空で輝いていた。
コンビニで買ったペットボトルのお茶をカバンから取り出して一口つけた俺は、スマートフォンに保存した落崖村までの行き方を頭の中で整理する。
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