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「おっ、ココだ!駅から一番近い定食屋、おとみ!」
蜘蛛の巣が張ってある外窓や古臭い店構えに不安を感じながら、引き戸を恐る恐る開く。
すると、70代と思われる白髪のお婆さんが小さい声で「いらっしゃい」と俺たちに声を掛けてきた。
思っていたより普通の店内だったことに安心していると、お婆さんにテーブルへ案内される。
「珍しいね、こんな辺鄙な処に若いお客さんが2人も来るなんて……」
お婆さんは水を注ぎながら質問する。
「僕たち、落崖村に行こうと思ってココまで来たんですよ」
俺がそう告げると、お婆さんは怪訝な顔になり、俺達2人の身体を舐めるようにジッと見つめる。
「悪いことは言わないから、ここでご飯を食べたら家に帰りなさい。
あそこに行っても何もありゃしないよ。村って言っても人なんて住んじゃ居ないし、あそこはこの付近の人ですら近づかない。
いい噂は聞かないしね。行くだけ、時間の無駄でしかないよ」
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