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『・・・あ。来る・・・。』
―――カツカツカツ―――
屋上への階段を誰かが上がってくる。
『もう少し・・・。』
――カチャ、ギィィ・・・――
「おい!」
扉が開き屋上に響く、大好きな人の声。
声の主は、少し辺りを見回してから振り返り、ドアの上に目を向ける。
「いつまで、其処に居るつもりだ。いい加減に下りて来い!」
「え~。まだいいでしょ~。」
ドアの横の梯子を登るとあるちょっとしたスペースにいた僕は、
ひょこっと顔を出し言う。
「何でお前は、そんなに寝れるんだ?」
俺様には分からん。脳が融けるぞ!と呟き、呆れた顔をする。
「それはねー、ケイの夢見てるから~。」
そう言うと、僕はゴロンと元の姿勢に戻る。
「アホか。」
ケイは溜息をつきながらも何処か嬉しそうに微笑む。
「後・・・、こーやって迎えに来てくれるし。」
付け足した様に僕は呟くが、それにケイは気付かない・・・。
「俺様がこーして迎えに来てやったんだから、早く下りて来い。」
「え~。まだ、ここにいたいんだけど~・・・。」
「あっ!じゃぁさ、ケイもこっちに上がって来れば~。」
「あ゛ぁ!? 何でそっちに行かなきゃいけないんだ。」
「たまにはいいじゃん。うん!そうしよう。それで、一緒に寝よ~。」
そう言って、僕は手を伸ばす。
「 ・ ・ ・ ・ 。」
ケイは少し考える素振りをして、手を伸ばしてきた。
そして・・・
グィッ!っと力いっぱい下へと引張る。
「うわっ!! ちょっ! あぶないって!!」
「下りてこないなら、引きずり降ろしてやる!」
「うわぁぁ!! やめてぇーーっ 助けてーっ!!」
「ならば、今すぐ下りてこい!」
そう言うと、ケイは僕の手を離してくれた。
「ふぅ~。やばかった・・・。」
「でも、次からはケイを担いで上がるってのも悪くないよね~」
「もち!お姫抱きで。」
それを聞いたケイは、顔中を真っ赤にして言う。
「やっぱり、お前は一生下りてくるなっ!!」
そして、また扉の中へと姿を消した。
残された僕は、置いてかれた寂しい気持ちと反応を示したくれたケイへの嬉しい気持ちで、
再び、夢の世界へと身を委ねる。
そう。幸せな、幸せな、大好きな人が出てるく夢の世界へと・・・。
―E・N・D―
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