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「...俺には名前も呼べねーのかよ」 その言葉が寂しそうに聞こえて、視線をこいつに戻してみれば、少し眉が下がってて。 なん…だよ。 「渡瀬?」 そう呼べば、またキッと睨まれる。 やばい...また怒らせたかも。 そう思ったら、掴まれていた手が離れた。 放してくれんのかって安心したのは一瞬で、渡瀬はそのまま俺のベルトに手を掛けた。 「っ!おいっ!渡瀬っ!」 少し緩んでいた緊張がまた帰ってきて、自由になった手でこいつを引き離そうともがいた。 「渡瀬っ!!やめろってば!!」 ってどんなに叫んでも、聞こえて無いかのように俺のベルトを外していく。 何でこんな事になってんだよ。 そんな事して何する気なんだよ。 朝は普通だったじゃん。 俺の頭撫でて笑って、普通に話したじゃん。 俺は、嬉しかったのに。
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