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そう思ったら、恐怖よりも、怒りよりも、悲しくなってきた。
俺らは今は喧嘩してっけど。
でも幼馴染なのは変わんなくて。
前は誰よりも仲が良かった親友で。
そんで、いつかはまた前みたいになれるかもって俺は思ってたんだよ。
いつかこいつに勝って、こいつの事笑ってやって、ごめんなさいさせたら許してやろうって。
なのに、何でこんな事すんだよ。
「...も、やめろよ...陸、やめて...」
そう言ったら、なんか自分で泣けてきた。
...陸。
俺の大好きだった親友は、どこに行っちまったんだよ。
こんな渡瀬は、陸じゃない。
「...ぅうっ、...ひっ...、ぅっ...」
堪えようと思っても、もうどうしようもなく抑えられなかった嗚咽に、渡瀬が小さく息を吐いた。
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