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情けなくも止まらない涙を隠そうと、腕で顔を覆った。
「壱…」
そう呼ぶ声はどこか優しく感じるけど、こんな状態で顔なんか見れない。
渡瀬が俺の上からどいたのを感じて、顔を隠したまま壁向いて、横向きに丸まった。
一刻も早くこっから出てった方がいいんだろうけど、泣き出しちまったらなんかもう止まらなかった。
「...うぅっ.....ぅっ...」
「壱、もうしないから」
そう言って俺の髪に触れた。
一瞬身体が強張ったけど、こいつが優しく髪を撫でるから。
「もうしないから。壱...泣くなよ」
そう言われて髪を撫でられて。
「ごめん、壱。ごめんな...怖かったよな」
そう言うこいつの声が優しかった。
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