1516人が本棚に入れています
本棚に追加
/764ページ
「...壱、もう...わかんだろ」
そう静かに言われ、顔が熱くなる。
わかんねーよ。
なんで、何でそんな事になってんだよ。
いつそんな事になったんだよ。
「わかんねーの?」
耳のすぐ後ろから聞こえる声が優しい。
「...わかんねーよ」
わかんねー事だらけだよ。
電気が消えたままの部屋は、窓から入る夕日の光に照らされてオレンジ色に染まってて。
そんなオレンジ色の世界で、後ろから俺を抱きしめてるのは俺の事を嫌ってるはずの幼馴染で。
一番負けたくない奴で。
一番大切だったはずの親友で。
そんな渡瀬が、
俺に言うんだ。
「壱、お前が好きだ」
最初のコメントを投稿しよう!