第1章

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松千代はその足で、美加の自室へと急いだ。 「美加姫様、よろしいでしょうか。」 「はい、松千代様。おかえりなさいませ、 ーーーどうぞ。」 松千代は少しあわてた様子で美加の自室へと入ると、 「美加姫様、先にお耳にいれておこうと思いまして。 今のところ、お館様は美加姫様をお召しではございません。 が、しかし、わたしの予想ではいましばらくした後に 美加姫様にお声がかかえるのではないかと思います。」 「ーーーはい。 どうされたのですか。」 夜のお伴に美加を召されるのはなにも珍しいことではない。 美加にはなぜ、このように松千代が慌ててそれを告げに来たのか、 怪訝な気持ちで松千代に尋ねた。
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