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「はい、さきほどまでお館さまは人に会われておいででした。
それがどこなのか、どなたなのかは申し上げられませんが…
しかし、その後、大変ご立腹でございました。
わたしがついていけないほどの勢いで、
この京の街を馬で駆けてこの寺に戻りました。
このような夜には、お館様は女の方無しではお静まりにならないかと…。
それで、美加姫様に早めにお耳にいれておこうかと…。」
松千代が申し訳なさそうに、美加に告げる。
「松千代さま、
あなたさまがそのように恐縮されることではございません。
一度目はあなたさまがお救いくださった。
変わりに自分の母を差し出すことになったのにも関わらず…。
二度目は大変お怒りの夜におそばに侍りました。」
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