第1章

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「はい、さきほどまでお館さまは人に会われておいででした。 それがどこなのか、どなたなのかは申し上げられませんが… しかし、その後、大変ご立腹でございました。 わたしがついていけないほどの勢いで、 この京の街を馬で駆けてこの寺に戻りました。 このような夜には、お館様は女の方無しではお静まりにならないかと…。 それで、美加姫様に早めにお耳にいれておこうかと…。」 松千代が申し訳なさそうに、美加に告げる。 「松千代さま、 あなたさまがそのように恐縮されることではございません。 一度目はあなたさまがお救いくださった。 変わりに自分の母を差し出すことになったのにも関わらず…。 二度目は大変お怒りの夜におそばに侍りました。」
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