第1章

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「ですので、松千代様、大丈夫でございますよ。 心配御無用にございます。 さ、早くお館さまの自室の前へと控えのお役目にお戻りくださいませーーー。 でないと、『松千代!』と大声で呼ばれたときに あなたさまが控えていないと、また機嫌を悪くしてしまいますーーー。」 「美加姫様、 母が言っていました。 お館様はお怒りになって、その矛先が女に向けられたならば あとは誰でもよいのだ、と。 矛先が女に向く前に、大名やどなたか武将に怒りが向いていたならば それを女に代えるのが一番の苦労だと。 ーーー今宵、美加姫様に夜伽を命じられる前に、 松千代が京の商売女を買ってきます。 そして、お館様の寝所に侍らせます。 それもできるのです。 美加姫様がーーー 一番の寵姫が、そんな役目につかなくてもいいのです、美加姫!」
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