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『……ん…ご……んね…』
『…す……えな……わ…い』
「……っ!!!!!」
ぱっ、と目を覚ますとそこは真っ黒な世界だった。
「…おや、お目覚めになられましたか、“キリト”さん」
横から無感情な声が聞こえてきて、俺はその声の方向に恐る恐る顔を向けた。
ゆらゆらと蝋燭がゆれ、暖炉の炎が暖かく光っているその奥でその声の主は恐ろしく澄んだ瞳で俺を捉えた。
病的なまでの白い肌に、緑色と青の鱗。澄んだ瞳は何色にも見える。整った顔立ちは俺の顔をみて薄く笑う。少しだけ遠くに見えていたその容姿が段々と近づいてきて、やがて俺の隣までくるとすっと座るのが分かった。
そこまで見て、俺はやっと張り付く喉から声を出した。
「あなたは…誰?」
思いの外掠れた声はとても小さな声となって目の前の人物に届いたようだ。鱗の人はふっとため息をつくと、答える。
「そうですね、言葉で説明するよりは映像を見せた方が早いかもしれません。貴方の脳に直接送り込みます。貴方がなぜここにいるのか、なぜこんなことになっているのかを、説明して差し上げますよ」
鱗の人はそういいながら俺の額に指をそっと置いた。そのあまりの冷たさにびくっとなった身体にまたも薄く笑う。
「ではー」
その瞬間、頭のなかにものすごい量の情報が流れ込んだ。
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