夏桃の氷菓

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「私、千代(ちよ)の事好きだよ」  大学の近くの喫茶店で、私は友達の千代に告白した。 中学の時からの友達で、親友で。 ずっと私の好きな人で。 「何? 改まっちゃって。あたしもあんたの事好きだよ」  うん、予想通りの答えでちょっと笑っちゃう。 千代はいつも何かの節に私を好きだと言う。 バレエを習っていた頃、お菓子をわけてあげた時。  私は頬杖をついて、注文した夏限定の冷たい桃のデザートとやらをスプーンで掬った。 「んー……どう言ったらいいんだろうね……ははっ、一口食わせろって?」  千代は口をあーん、と開けて待っていて。 その口があんまりにも大きいので私は笑ってしまった。 「はい」 「ん。うまー、これ好きだなー」  ほらね。 「私さ、千代の事好き、って言ったんだけれど」 「だからわかってるってー」  私はまた桃のデザートをスプーンでつつく。 白桃色のアイスクリームに、とろり、とした果肉のソースがかかっていて。 かちん、かちん、とスプーンが皿に当たる音がする。
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