夏桃の氷菓

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「……あんたの事、嫌いになるわけないじゃん。今までどんだけ一緒にいたと思ってんの? なのに自分で気持ち悪いよね、とか、勝手にあたしの気持ち、決めないでよ」  まだ大きかったけれど、私はパンケーキをごくん、と飲み込んだ。 「それにあたしの事好きなら他の人と、男とセックスすんなよ。あーもうっ、むかつく!」  ん? セックス? 「ちょっと千代、それは」 「あたし、あんたの事が好き。大好き」  またアイス珈琲の氷が、からん、と溶けた音がした。 「今あたし、すっごいむかついてる。多分、あんたの事愛してるからだと思う」  千代の頬が赤らんでいた。 私は言われた事が飲み込めなくて、ぼぅっ、としてしまっていて。 「……何よ、何か言いなさいよ」 「あ……えーと、その、セックスはしてない。まだ、処女」  はぁ? と、千代の顏が歪んだ。 「ゲ、ゲイの、友達? にハグしてもらった、だけ」  私には婆ちゃん繋がりの年が近い鈴木(すずき)というゲイの知り合いがいて、一回だけハグしてもらったのだ。 お互いの感想は、違う、という感じで。
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