囀る小鳥は毒を知らない

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「ねぇ、お願い。私を好きになって」 お願い。 嘘でもいいから好きと言って。 「ねぇ、ことり」 「ダ、ダメだよ、あずちゃん……」 ことりは囀(さえず)る。 細い声を、振り絞って。 その姿が愛しくて、儚くて。 私はぎゅっと、細い身体を抱き寄せた。 「私はこんな風に、ことりを傷付けたりしない」 「彼氏」という汚れた存在に裏切られた彼女は、泣きながら私の元へとやってきた。 傷付いた彼女は泣くばかりで、その姿は余りにも痛々しくて 何年もの間、必死に抑えつけていたはずの愛情の箍(たが)は、プツリと音を立てて消えてしまった。 「私は他の人なんて興味ない。今までもこの先も、ずっとずっとことりだけ」 「あず……ちゃ……」 戸惑う彼女は頬を染めて、潤んだ瞳を私に向ける。
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