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「別に隠さなくてもいいわよ。そういうあだ名が付けられても仕方のない生き方をしてきたんだもの。あのね、あたしは皆から“死神の神那”って呼ばれてるの」
小娘はキツネに目を向けて「でも、それを知っているってことは当然その理由もしてるのよね」と明るく笑ってみせた。
一段と明るい笑顔。嘘の笑顔。暗い顔をしないで、気にしなくていいからと俺達に、そして自分に向けた嘘。
彼女の態度にキツネはますます困惑し、悲しげな顔をうつむかせてしまった。なんだ、キツネはこの小娘のことを知っていたのか。
しかしまぁ、死神なんてどんな生き方をすれば呼ばれるのか。これで、彼女の話がある意味楽しみになったな。
少なくとも、他の人間どもとは違って本物の鬼である俺がいると信じて1人でやってきた。そして臆することなく、むしろ偉そうに酷い暴力で起こした。その度胸は高く評価してやろう。
後にも先にも、この俺を蹴り起こしたのはお前とアイツだけだろうよ。
ふむ。迷惑この上ない、面倒なことになったと思っていたが。これは、少しは退屈しのぎくらいにはなりそうだ。面白い……
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