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しかし姉は最後に救出されたが遅く、病院に運び込まれた時にはすでに手の尽くしようがなかったのだという。
神那が退院する時、担当だった看護師は彼女に「これは救急隊に聞いたんだけど。お姉さんは煙が充満した部屋で窓を探して、必死にあなたとお友達を外に押し出していたそうよ」と、涙を流してくれたそうだ。
強い姉だ。自分の命と引き換えに2人を助けるなんて、今時の人間にしては珍しい。その心の強さは、神那も同じということか。
これで神那は、1年のうちに家族を全員失ったことになる。
頼る親戚もいなかった当時の彼女は17歳で1人暮らしを強いられ、それでも絶望はしなかった。生きることを諦めなかった。
17歳なりに援助を受けながらも学校に通い続け勉学に励み、放課後や休日はバイトに勤しんで。家では家事をこなす。遊ぶ暇なんてほとんどなかった。
ちゃっかり彼氏を作っていたが。どうせ、一気に家族を失った神那に同情した、オウジサマのような優しい男なんだろう。
翌年。つまり去年の春には何事もなく、彼女の死の連鎖は終わったかと思われた。
しかしその年の夏、今度はその最愛の恋人を海で亡くしたのだという。たった数か月の安息は終わった。
バイト先の先輩だった彼氏とは恋人として7か月の付き合いだったらしいが、夏休みのある日2人は少し遠出をして海水浴場へ遊びに来ていた。
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