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「ごめんなさいっ!!」
「え…………うちの、屋根裏……?」
神那は震えた。キツネも、震えた。
神那は怒りと羞恥で耳まで真っ赤になってワナワナと肩を震わせ、ギンッと睨みつける。睨まれたキツネは本能的に命の危険を感じ怯えてガタガタと震える。
大正解、か。プライバシーも何もないな、小娘。年頃の女性だというのに。
だが珍しいな。キツネは人間の女が苦手なはずなのに、特に苦手なタイプのこの小娘の家に住んでいるだなんて。しかも気に入っているだなんて。
もしかしてキツネ、この小娘に気があるのか?…………いや、あんなに怯えていたし有り得ないな。
あぁ、体はデカいくせに気の弱いキツネが少しずつ戸口へと逃げるものだから、つい手が伸びて掴んでしまったじゃないか。俺の左手が、キツネの首を。
「キツネ、男なら腹をくくるんだな」
俺がそう冷たく吐き捨てると、キツネはボンッ!と音を立てて白いキツネの姿に戻り短い手足をバタバタと振り回す。フッ……滑稽だな。
俺は暴れ泣き叫ぶキツネを高々と持ち上げ、そしてスッと、静かに怒れる小娘の方に向けた。
まぁ、この直後にキツネの断末魔の叫びが山の頂上まで響いたのは言うまでもない。
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