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「俺にとってはただの、うるさくて便利な下僕だ」
本当にあの時は面倒臭かったんだぞと、失神したままのキツネの狭い狭い額にデコピンを食らわす。
デコピンした時に思い出したんだが。そういえばあの時、キツネは家に転がり込んで俺を見つけた途端に「助けてくれぇッ!!」と叫んだんだ。
しかも、バッ!と起き上がって突進。俺の腹にキツネの白い頭がめり込もうとしたものだから、俺は「嫌だ面倒くさい」と、避けた。
結果、キツネは俺の後ろの壁に頭突きを決めて。まぁ見事に、首まで壁にめり込んでいたな。
抜けなくなって暴れているうちに女が追い付いて。女は俺に驚くどころか、キツネに夢中で見えていないのか完全にスルー。
俺の家の中でさらに暴れてメチャクチャにされるのは嫌だし、キツネが女に捕まって毛皮にされれば部屋の中が赤いモザイク状態になるので気分が悪くなる。
そう言った理由で、女を締め出した。あの時の女はそこらの獣よりも獣だったな。そんな女をどうやって追い出したのかは、まぁどうでもいい。
俺が自分のためにしたことでも、キツネにとっては自分を助けてくれたことになる。つまり、勘違いだな。
なのに俺に忠誠を誓って、従順な下僕になったというわけだ。俺はいつも寝ているし、起きていれば好きなように使ってやるから、少しは後悔していると言っていたな。
俺も女は嫌いだ。特に人間の女は1番嫌いだな。俺は結構な年月を生きてきたが、これほどにも面倒臭い生き物がいるのかと驚かされる。
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