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「泣くなら、俺の胸貸すぞ?」
「…ふっ。俺は男の胸では泣かん」
じゃあ、女の胸なら泣くのかよ。
そんな疑問は、声に出る前に無理やり飲み込んだ。
歪んでいたその表情のまま、俺を真っ直ぐに見る。
「気になるんだろ?」
突然の言葉。
「は?」
意味がわからないと、口を半開きのまま目を見開く。
「かなり手強いから、気合入れていけよ」
そういえば。
さっきも“遠慮することない”って…
手強い?
誰が、なんて聞かなくても。
それは彼女のことで。
遠慮するな、も彼女のこと。
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