Ⅰ.これが…恋?

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「泣くなら、俺の胸貸すぞ?」 「…ふっ。俺は男の胸では泣かん」 じゃあ、女の胸なら泣くのかよ。 そんな疑問は、声に出る前に無理やり飲み込んだ。 歪んでいたその表情のまま、俺を真っ直ぐに見る。 「気になるんだろ?」 突然の言葉。 「は?」 意味がわからないと、口を半開きのまま目を見開く。 「かなり手強いから、気合入れていけよ」 そういえば。 さっきも“遠慮することない”って… 手強い? 誰が、なんて聞かなくても。 それは彼女のことで。 遠慮するな、も彼女のこと。
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