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どうやって比奈に近づいたらいいかって。
頭の中フル回転にさせて、
あーでもない、こーでもない、と思考を巡らせて。
周りなんて何も見えてない。
何も聞こえてない。
彼女のことだけが気になって、
後ろ姿なのを良いことに、無意識にジーッと見つめてしまっていることに気がついては慌てて視線を逸らす。
そんな状態だった。
傍から見たら、そんな挙動不審な俺をどう思うだろう。
俺自身は特に気にしてなかった…というより、気にする余裕なんてなかった。
だけど、どれだけその後ろ姿を見ていても。
俺たちの視線が合うことは一度もなかった。
俺のことなんて、きっとクラスメイトくらいにしか認識されてない。
だけど、きっと一瞬でも目が合ってしまえば。
このポーカーフェイスは簡単に崩されてしまうだろう。
良かったような、寂しいような複雑な気持ち。
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