Ⅱ.恋の味…?

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予鈴が鳴って、美佳たちがしぶしぶ教室を出て行って。 クリアになった視界には、彼女の後ろ姿がよく見えた。 後ろ姿しか見えない。 でも、よく笑うその姿。 たまに顔を動かせば、チラリと見えるその横顔はいつも異常に幼くて。 屈託のないその笑顔は、周りも同じように笑顔に変えていく。 担任が教室に来るまで、比奈たちの楽しそうな声が、教室の中に響いていた。 これから始業式だと、みんなが廊下に出て体育館へ向うときも。 彼女に近づく勇気のない俺は、彼女の後方から見てることくらいしかできなくて。 「相変わらず海斗の周りにはいい女が集まるな」 俺の肩に腕を回してくる友だちに。 「そうか?」
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