Ⅱ.恋の味…?

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呆れたようにフッと笑うと。 「嫌味だな。 モテるからって、その発言は反感買うぞ」 そういうお前はだってフッと鼻で笑って、余裕な顔して。 ふと向けた視線の先には、こいつの彼女。 彼女を見つけて急に緩んだ顔は、ムカつくくらい優しくて。 なんか羨ましい。 彼女の近くには比奈の姿。 人懐っこいその性格で、もう仲良くなってるその光景は微笑ましくて。 そんな比奈を見て、俺までだらしなく揺るんだ口許を慌てて引き締める。 慌てたところで、時すでに遅し。 「おい。絶対に手を出すなよ?」 何を勘違いしたのか、真顔で俺に迫るこいつに頬がピクピクと引きつって。 「あほ。ダチの女には手は出さねえよ」 いや、他の女にも興味なんてこれっぽっちもないけど… 俺が興味あるのは…なんて、恥ずかしくて言えるわけもなくて。 「ほら行くぞ」 そう言って先に歩いていくことで、この複雑な表情を隠す。 目の前には比奈の姿。 ……この1年、楽しくなりそうだ。 そう思うとさっき引き締めたはずの口許が、知らず知らずのうちにまただらしなく緩んでいた。
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