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彼の名は【立川篤】という。
三年前、両親が大掛けのギャンブルに負けたせいで、莫大な借金を抱えてしまっている青年だ。
成功すれば数億円だが、失敗すれば一生掛けても払えない金額を背負わせられるという内容のもので、正確な判断力を持つ者ならそんなギャンブルは行わない。
だが、家族は貧乏で金が無かったので、チャンスだといって挑んだ。
その結果ボロ負けし、借金を背負わせられることになった。
篤は、両親に猛反対したのだ。
貧乏でもそれなりに生活出来たし、それなりに楽しかったからそれでいいと思っていたから。
家のことで同級生などにからかわれることはあったが、そのたびに喧嘩で相手を倒してきていたので、現状を悲観せずにむしろ楽しんでいた。
だから、このままの生活でも良かったのに、両親が勝手にギャンブルを行い、そして勝手に負け、勝手に借金を抱えた。
そのせいで、今までの生活より更に辛くなってしまった。
両親の勝手な行動に心底呆れ、嫌気がさした篤は、何も告げずに家を出た。
これで、馬鹿な両親から縁を切ることができた。
そう思うと、彼はとても清々しい気持ちになった。
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