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しかし、それも長くは続かなかった。
家を出てから3ヶ月経ったある日。いつものように不良をワザとキレさせ、正当防衛だと言って倒し、財布を擦った。
不良お得意の裏路地に連れて行ってボコボコにするシチュエーションのために、彼は表の路地からは見えにくい場所にいた。
不良の財布の中身を確認し、歩いて表へ出ようとした時だ。
「……何だアンタら」
歩く道を塞ぐように、黒いスーツにサングラスの男が五人ほど止まっていた。
誰もが殺気めいたものを醸し出しており、並みの人なら、立たれるだけで恐怖を感じるほどだ。
実際、篤は異様な雰囲気を感じて、冷や汗を流していた。
更に、男達は篤の問いには答えず無言で、そのことが余計に違和感を感じ、冷や汗を更に流させる原因になっている。
「……用がないなら行くぞ」
その嫌な沈黙に耐えられず、後ずさりをし、後ろを振り向いた。
「……なに?」
その時目に入った光景に、思わず篤は目を見開いた。
振り向いた先には……いつの間にいたのか、黒いスーツにサングラスの男達がいて、篤を挟み撃ちにしていたのだ。
この異様な状況や雰囲気に、篤は気絶しそうになった。
今まで不良の集団と戦ったことは何度もあるが、所詮は烏合の衆で手応えをあまり感じずに倒してきた。
だが、篤を囲んでいる男達は、雰囲気から行って争いごとのプロだ。
そんな奴らと会ったことも無いから、篤は気丈に振る舞おうとしているが、内心は恐怖で埋め尽くされていた。
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