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しかし、その日から地獄の逃亡生活が始まった。
奴らは事あるごとに篤の前に現れ、襲いかかってきたのだ。
そのたびに何とか逃げ切っていたが、常にギリギリで、いつ死んでも可笑しくない状態だった。
運が良いのか対した怪我もせずに逃げていたが、それでも、死が隣り合わせの生活は精神的にも肉体的にも多大なストレスを彼に与えた。
不良をボコボコにして解消していたのだが、それでは足りないほど、キツいものがある。
彼は思った。
いつまで逃げ続けたらいいのだろうかと。
命は惜しいから、逃げるしか選択肢はない。
立ち向かうことも考えたが、相手は戦闘のプロだし、拳銃も持っているので、勝ち目が全くない。
彼は、理由の分からない追っ手から、なすすべもなく逃げ続けるしか無かったのだ。
……あの出来事が無ければ。
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