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「奥さん、仲間に話しても誰も信じてくれないけど俺、今の会社の社長の座を狙ってるっての本気なんすよ!俺なら必ずなれるって!人生なんてまず自分を信じる所から始まるじゃないっすか?」
「まぁ、俺の前の社長は課長だと信じてますけどね!」
大沢は大真面目だったが、銀座勤めをしていた夏子はそれを上手に受け流していた。
しかし、次の夏子の一言で俺の胸がざわつき始めたんだ。
「大沢君て本当に若い頃の主人に似てるわ!男はそのくらいの気持ちがなきゃね! 大沢君てモテるでしょ?」
「そんな事無いっすよ!こんな綺麗な奥さんがいる課長が羨ましいっす!」
「そんなお世辞が言えるだけでも若い娘さんたちはイチコロでしょ?あはははは!」
そして不覚にも、本当に不覚にも俺はその夜 疲れのせいか深酔いし、ソファーで寝込んでしまったんだ。
俺が寝ている間に夏子と大沢の間でどんな会話が交わされたのかは知る由もない。
そして、AM2:00頃に目を覚ました時には、ソファーで寝込んだ俺には毛布が掛けられ、大沢の姿はなかった。
ただ、得体の知れない不安だけが残った。
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