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「ああ、俺は一人暮らしだから料理する気起きないんだよね」
「そう、なんだ」
「始めようと思ったことあったけど、才能ないみてーだからすぐ諦めたけどな」
無邪気な笑顔を向けられ、鼓動が高鳴った。動悸が早くなったような感じがして、落ち着かない。何となく気付かれたくなくて、水筒からお茶を注いで勢い良く流し込む。
「けほっけほ!」
「おい、大丈夫か?」
…恥ずかしい。
「だ、だいじょ・・・ぶ」
落ち着け落ち着け落ち着け。
むせが止まって、小さく深呼吸する。
「透子は料理得意そうだよな。このハンバーグとかすげえ美味しそう」
「い、いる?」
「あ、わかっちゃった? さんきゅー」
わざとらしく言う彼にぎこちなく箸を差し出せば、嬉しそうに私から箸を受け取るとハンバーグをつまんで口へと運んだ。
「思ったとおり美味いな」
何故か得意気に話す彼につられて私も
笑う。
「やっと笑ったか」
驚いて彼を見ると、優しげな眼差しがそこにはあった。
なんだろ。
嬉しい。
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