第1章

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       え?    今なんて言った?  彼女という聞きなれないワードに混乱と衝撃を覚える。  え? こっ告白!? いやいや待って!  まず初対面だし、一目惚れ…はないな。それ程の容姿じゃないことは自覚はしている。  ってことはもしかしてからかわれてる?  そうだ、そうだよ! きっと罰ゲームか何かだ!  混乱する頭を必死に回して動揺を抑える。落ち着け、落ち着くのよ!  きっと罰ゲームだったら見守っている誰かがいるはず! ならばこの部屋の外に誰かがいるわ!  鼻息を荒くしながらドアを勢い良く開ければ、シンと静まり返っている廊下がただ見えるだけだった。 「あ、あれ・・・?」 「何してんの? 透子」 「や、罰ゲームかと思って・・・」 「ははっ!!!」  予想外だったのか1人大笑いする彼。恥ずかしさで顔が赤くなるのがわかる。  勘違い? いやいや罰ゲーム以外で告白される理由が見当たらない。 「待てよ。それならわざわざ彼女役って言わねーよ」 「か、彼女役!?」  都合良く聞き間違えていたことを知り、まず根本から間違っていることに気付かされた。 「そっからかよ!」  再度吹き出すよう笑いだした。改めて自分の行動を振り返ると恥ずかしさで爆発しそうだ。 「な、なにそれ?」 「そのまま。彼女のフリして欲しいんだ」 「・・・なんで?」 「あんまこういうこと言いたかねーけど最近気持ち悪いストーカーみたいな女の子いるんだよね」  ストーカー? ・・・さっきの子? 「察したか。告白してくれるのは有り難いんだけど、彼女作るとかそういう気持ちになれなくて断った。だけど食い下がってきてさ、話し合うにも日本語通じないのか全然聞いてくれないし、情けないけど逃げたんだよ。それがさっきのこと」 「・・・」 「今回は助かったけどこれからもずっと絡まれるのなんて無理」 「それで、彼女役?」 「そう。このリア充の本見てピンときたんだよね。彼女作っちゃえばいいって。ということで、彼女役なんない?」
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